部分矯正そのものについて
部分矯正は、何歳までできますか?
矯正治療は小児矯正と成人矯正に分けられますが、部分矯正に限って言えば、永久歯への生え替わりが終わっていれば、何歳になっても受けていただけます。
部分矯正は、どうして治療期間が短いのですか?
奥歯の根は2~4本に分かれていますが、前歯の根は1本になっています。ですので、より弱い力で、短期間に動かすことができるのです。
また、全体矯正の場合、お口全体の咬み合わせを考慮しなければなりませんので、少しずつ、多くの歯を動かす必要が生じ、治療期間も長くなります。
そもそも、歯はどのようにして動くのですか?
歯は、一定の方向に持続的に力を加えることで動きます。具体的に申し上げますと、歯を押すことで一時的に歯槽骨を溶かす働きが起こりますが、動いた先で再び歯槽骨を作る働きが起こりますので、矯正治療の終了後は、歯は正しい位置に固定されます。
基本的にはワイヤーとブラケットを使って力を加え、歯を動かしますが、インプラントやマウスピース型の矯正装置によって歯を動かす方法も開発されています。
部分矯正にするか、全体矯正にするか迷っています。どうやって決めればいいですか?
お口全体の歯並び・咬み合わせを改善したいのであれば、全体矯正がいいということは明らかです。ただし、全体矯正ではなく、部分矯正でも十分に効果が期待できるケースも多々あり、その場合には全体矯正は不要ということになります。
大切なのは、患者様のご希望と、歯科医の診断力です。歯科医による歯学的見地をきいた上で、最終的に患者様がお決めになるのが、患者様にとってのベストの選択になります。
当クリニックでは、初診相談は無料で受けていただけますので、そこで一度、歯科医のアドバイスを受けることで、患者様の判断材料が増え、決断の手助けになるかと思われます。ぜひ、お気軽にご利用ください。
歯医者さんがどういうところを見て全体矯正か部分矯正かを判断しているのか知りたいです。
歯科医が診るポイントは多岐にわたり、患者様のお口を拝見しなければ分からないこともありますが、以下、ポイントのみ申し上げます。
- 前歯の歯並びの乱れの程度
全体矯正では、奥歯も動かしますので、奥から一つずつ動かしていくと、前歯がきれいに並ぶスペースを確保しやすくなります。対して部分矯正では、全体矯正ほど自由にスペースを確保することはできません。患者様の歯が綺麗に並ぶスペースをカバーできる範囲であれば、部分矯正が適していると言えます。 - 患者様のご希望の歯並び
例えば、患者様が部分矯正を強くご希望しているときには、明らかに全体矯正が必要である場合を除いて、できるだけ患者様のご希望の範囲内での治療を行います。
また、ご希望されている歯並びが、まるでモデルのように美しいものであるのか、それともお口の健康を維持・向上させることができれば十分なのかによっても、ご提案内容は異なります。さらに、患者様のお口の状態、骨格なども考慮いたします。 - 費用、治療期間などのご希望 全体矯正と部分矯正では、費用、治療期間、治療中の不便・痛み、患者様の具体的な目標の傾向などが異なります。歯科医のアドバイスを受けた上で、総合的に判断していただければと思います。当クリニックでは、ある治療を無理にお勧めすることはありませんので、安心してご相談ください。
全体矯正と比べたとき、部分矯正のデメリットはありますか?
全体矯正は、お口全体の歯並び・咬み合わせのバランスを考慮して矯正を行います。対して部分矯正は、部分的に歯並びを改善するため、お口全体の咬み合わせ改善の効果は期待できません。この点が、もっとも大きなデメリットと言えます。
当クリニックでは、全体の歯並び・咬み合わせが必要だと判断した場合には、きちんとその旨を患者様にお伝えし、その上でできることをご提案しております。全体的な歯並びの乱れの改善や、咬み合わせの改善が必要であるにもかかわらず、そのことを無視した部分矯正は行いませんので、ご安心ください。
その他、全体矯正と比べると、以下のようなデメリットが挙げられます。
- 前歯のエナメル質を削ることがある。
- お口全体として見たとき、理想の歯並び・咬み合わせの実現のためには、全体矯正の方が優れる。
- 重度の出っ歯には適さないことがある。
歯の神経を取ってしまいました。矯正治療はできますか?
歯の神経がないことは、矯正治療の際には問題になりません。歯の根が残ってさえいれば、全体矯正も、部分矯正も可能です。
インプラントで歯を入れました。矯正治療を受けられますか?
インプラントにつきましては、顎の骨に埋め込まれているものですので、矯正治療で動かすことはできませ
差し歯を入れています。矯正治療を受けられますか?
基本的に、歯の根さえしっかりと残っていれば、クラウンなどの補綴物があっても、矯正治療を行うことができます。
検査から矯正治療終了まで
精密検査では、どのようなことを行いますか?
模型や写真、レントゲンなどの資料から、治療計画を決めていきます。また、その内容につきましては、患者様にきちんとご説明いたします。
例えば上の前歯だけ部分矯正したとき、下の前歯との咬み合わせが悪化するということはありませんか?
前歯の部分矯正では、咬み合わせが変わることはありませんので、悪くなることもありません。ただし、部分矯正では、お口全体の咬み合わせを良くすることもできませんので、咬み合わせ改善が必要な場合には、全体矯正をお勧めします。
部分矯正をする前に、親知らずの抜歯を行うことはありますか?
前歯の部分矯正では、奥歯は一切動かしませんし、また動きません。ですので、部分矯正のために親知らずの抜歯が必要になることはありません。
ただ、親知らずが歯並びの乱れにつながることはありますので、特に歯の生えるスペースの少ない方は、親知らずの抜歯を検討する必要があります。
将来的に歯並びが乱れないよう、親知らずを抜いておこうと思います。いつ抜けばいいですか?
できるのであれば、矯正後ではなく、矯正の前に抜いておくことをお勧めします。
部分矯正を考えています。どのような流れで治療を受けることになりますか?
現在、多くの歯科クリニックが部分矯正を行っていますが、基本的には以下のような流れで進んでいきます
- クリニックを探す 事前に患者様ご自身のご希望がはっきりしているのであれば、それに合致した部分矯正をインターネットなどで探すとよいでしょう。
具体的に決まっていない、部分矯正そのものに不安がある、という場合には、無料相談ができるクリニックを探してみるのも一手です。当クリニックも、初回の相談は無料となっておりますので、ご利用ください。
部分矯正が可能か・必要かどうかといったことは、結局は患者様のお口を歯科医が診なければ分かりません。また、歯科医と会って話すことで、「任せられるかどうか」も判断できます。 - 矯正相談 歯科医へのご相談の際には、ご自身のご希望をしっかりと伝え、また不明点などを確認しましょう。
- 検査 治療内容・期間・費用などにご納得の上、検査を受けていただきます。得られたデータから、治療計画を立てていきます。
- 矯正治療前の準備 お口のクリーニングや、むし歯・歯周病のチェックを行います。
- 矯正治療の開始 最終的なご同意の上、治療が開始されます。部分矯正の場合、軽度の歯並びの乱れでしたら3か月程度、長くて6か月程度の治療期間で改善が可能です。
- 矯正治療の終了→保定開始 装置を取り外し、矯正が終了します。保定装置の使用を開始し、歯の後戻りを予防しながら、経過を観察していきます。
歯の表面には、どのようにして器具を固定するのですか?
歯の表面につけるのは「ブラケット」と呼ばれるものです。ブラケットは歯科専用の接着剤で固定されています。そのブラケットにワイヤーを通し、歯を動かします。
歯科専用の接着剤には、身体の害になるような成分は含まれておりませんので、ご安心ください。
前歯の部分矯正では、前歯にだけ装置が取りつくのですか?
はい、前歯にだけ装置を取り付けます。奥歯には何も取り付けません。 部分矯正は、全体矯正と比べると、違和感が大幅に抑えられます。食事やブラッシングも、大きなご負担なく行っていただけます。
どのくらいのペースで通院する必要がありますか
3~4週間に一度、ご来院いただいた上で、歯の動きを確認し、ワイヤーの交換などを行います。また、矯正治療中に起こりやすいむし歯のチェック、磨けていない箇所のクリーニングなども行います。
矯正中にむし歯になったときはどうするのですか?
状況にもよりますが、矯正中にむし歯治療を行うこともあります。ただし、矯正装置を取り付けた際にはブラッシングの指導をし、通院していただきながらクリーニングを行い、特に部分矯正の場合は治療期間が短いため、むし歯になる可能性はかなり低いと言えます。
矯正中に見つかるむし歯のほとんどは、歯が動いたことによって見えるようになった「隠れむし歯」です。この場合には、矯正治療を終えてむし歯の箇所がしっかりと露出してからむし歯治療を行うこともあります。
矯正治療後について
矯正装置を外した後は、通院は必要ありませんか?
矯正治療によってきれいに並んだ歯は、しばらくの間、元に位置に戻ろうとする力が働きます。そのため、矯正装置を外した後も、保定期間が必要になります。歯を動かしたあとのきれいな状態で歯型を取り、その歯型に合わせて作った保定装置(リテーナー)を6~12か月装着していただきます。その後の2~3年は、就寝時の着用のみとなります。
保定装置の効果の確認のためにも、定期的にご来院をお願いしておりますので、ご協力ください。
透明の薄い素材で作られた保定装置は目立ちにくく、装着していることが周囲に気づかれることはほとんどありません。
前歯の部分矯正は、全体矯正より後戻りが起こりやすいときいたのですが、本当ですか?
一概には言い切れません。そういったこともある、ということです。歯並びの乱れが奥歯にまで及んでいる状況で前歯の部分矯正を行った場合には、後戻りが起こることが多いようです。ただし、適切に保定を行えば、そういったケースでも後戻りが起こる心配はありません。
歯を削ることについて
部分矯正で歯を削ることがあるそうですが、何のために削るのですか?
歯を削ることで、歯がきれいに並ぶスペースを確保することができます。同時に、治療期間も短縮できます。
歯を削るデメリットもあるのではないでしょうか?
例えば、大きく歯を削ったり、でこぼこに削ったりした場合には、むし歯のリスクは高まります。しかし矯正治療に伴う歯の削除(削ること)では、エナメル質だけをきれいに削りますので、そのことがむし歯の原因になるということはありません。
そしてこの場合には、歯を削るメリットのことを併せて考える必要があります。歯を削ることで歯並びが改善すると、ブラッシングがしやすくなります。また、物が挟まるリスク、プラークが溜まるリスクが下がり、これらはむし歯・歯周病・口臭リスクの低減へとつながります。
以上のことを総合的に考えると、むしろお口の健康を損なうリスクは下がっている可能性の方が高いと言えます。エナメル質を削る治療について、過度にご心配される必要はありません。