出っ歯とは
正式には、出っ歯は「上顎(じょうがく)前突」と呼ばれています。
正常な前歯の咬み合わせは、上の歯が下の歯よりも2~3ミリ前方にある状態ですので、これより大きく前歯が前突している場合には、出っ歯と診断されます。
ごく軽度であれば部分矯正による改善が可能です。ただし、中程度以上の出っ歯、骨格的な問題がある出っ歯の場合には、全体矯正による治療が必要になります。
出っ歯のまま放置していると、見た目の問題だけでなく、発音の障害が生じたり、口内が乾燥しやすくなることによるむし歯・歯周病リスクの上昇へつながる他、周囲の歯並びの乱れの原因となることもあります。
また、食事のときの前歯の役割(物を噛み切る)が十分に果たせなくなりますので、顎や奥歯、胃や腸への負担も大きくなります。
出っ歯になる原因
出っ歯の原因としましては、遺伝、口呼吸の癖、舌の癖、鼻炎などが挙げられます。
遺伝を原因としている場合には、矯正治療で改善できますが、口呼吸の癖、舌の癖、鼻炎などを原因としている場合には、それらの改善・治療も必要となります。
大切なことは、原因を明確にし、原因に合った矯正を行うことです。原因を放置して見た目を良くしても、かなりの確率で後戻りが起きてしまいます。
出っ歯の矯正のタイミング
出っ歯は、小学校1~2年生頃の、永久歯の前歯4本が生え揃った状態で矯正を開始することが望ましいとされています。この時期は、まだ顎の成長が続いていますので、その力をコントロールすることで、出っ歯を改善するのです。
その時期を逃してしまった、あるいはそれ以降に出っ歯になったという場合には、気になったときに、できるだけ早くご相談ください。奥歯から動かして前歯がきれいに収まるスペースを確保する全体矯正を行うか、ごく軽度の場合は部分矯正で対応します。ただし、軽度の場合であっても、前歯がきれいに並ぶための十分なスペースがなければ部分矯正では後戻りの可能性が高くなりますので、全体矯正をお勧めするか、抜歯によりスペースを確保した上で、部分矯正を行います。
出っ歯の矯正治療のポイント
出っ歯の矯正治療のポイントをまとめると、以下のようになります。
タイミング
小学校1~2年の、永久歯の前歯4本が生え揃ったタイミングでの治療がもっとも良いと言われている。
リスク
見た目以外にも、発音障害、ドライマウス、むし歯・歯周病リスクの上昇、周囲の歯並びへの悪影響、顎・奥歯・胃腸の負担増などのリスクがあるため、早期に治療することが望ましい。
治療
口呼吸の癖、舌の癖、鼻炎などを原因としている場合には、それらの改善・治療も行わなければ、根本的な解決にはならない。
その他
部分矯正では、中程度以上の出っ歯の治療ができないこともある。その場合は、抜歯の上での部分矯正、もしくは全体矯正により前歯がきれいに並ぶスペースを確保する必要がある。